昨年(2024年)は、インディ500の予選日の1日目に行きましたが、今年は1周2.5マイルのオーバルコースを200周して競う決勝レースを観に行ってきました!
2024年の体験に基づいて別記事で観戦ガイドを書きましたが、今回決勝日に行ってみて、予選と決勝では勝手が全く違うことがよくわかりましたので、改めて決勝日のレポートを書きたいと思います。
軍や軍人への感謝
まずインディ500を語る上で欠かせない要素に触れたいと思います。
インディ500の開催日に関して日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、インディ500は毎年アメリカの祝日であるメモリアルデーの前日の日曜日に開催されます。メモリアルデーは、戦没将兵追悼記念日とも呼ばれ、毎年5月の最終月曜日に割り当てられ、戦争や軍事行動で命を落とした兵士を追悼する日とされています。
インディ500では、会場内やレース前のイベントにおいて繰り返し軍や軍人への感謝の意が示され、国のために自らを犠牲にして奉仕する人々への気持ちが伝わってきます(日本では自衛隊の方々に大々的に感謝を示す機会やイベントはありますかね…?)。
決勝日はとんでもない大渋滞
インディ500の決勝日には、会場となるインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)に30万人以上(!?)の人が集まります。そして、その観客のほぼ全員が車で集結するため、IMS周辺はとてつもない渋滞が発生します。
私は、IMSの北西にある[Lot 1C]という広大な駐車場の駐車券を何とか買うことができたのですが(2月末時点で他の駐車場は売切れ)、I-465の17番出口の手前1.5マイル(約2.4km)から渋滞し、そこから駐車場に入るまでずっと渋滞。通常時は10分もあれば着く道ですが、私の場合はその10倍の1時間40分を要しました。9時20分に渋滞に突入し、駐車したのが11時です。駐車場所から指定された席までそこから徒歩で45分かかり、最終的に席に着いたのは11時45分でした。レース開始予定時間である12時45分の1時間前に到着しました。


どの道を通るか、どの駐車場を使うか、どの席か、などによって所要時間は異なると思いますが、私の経験は以上のとおりです。基本的にどれくらい時間がかかるかは読めないと思いますので、レース開始時間に間に合うように行くのであれば、できるだけ早めに行動した方が良さそうです(ゲートは朝6時に開きます)。

タワーテラスにて観戦
決勝レースは、ホームストレートの内側で第4コーナー寄りにあるタワーテラスという席で観戦しました(一人$120)。具体的には[S71]というセクションで、現地に行ってみると思っていた以上に第4コーナーに近い席で、第1コーナーやコントロールラインは見えないくらい先にありました。
席から撮影した動画はこちら↓。スタート時の映像です。
場内の雰囲気は予選日と決勝日で大違い
昨年は予選日に行きましたが、観客は多くはなく、開放されたグランドスタンドで自由に好きな場所から好きなタイミングで予選アタックする様子を見られました。小さな子供と一緒の家族連れも多く、芝生で遊びながらのんびり楽しんでいるようでした。トイレや売店に行列ができることもありませんでした。
しかし、決勝日は様子が全く違いました。さすがに30万人以上集まるイベントというだけあって、どこも人・人・人で大混雑。駐車場渋滞だけではなく、IMSのゲートに入るまでも人でごった返していましたし、ゲートから入った後に自分の席まで行くのにも真っ直ぐ歩いていけない状態でした。トイレも売店も大行列。
「レーススタート前はこれくらいの混雑はやむを得ないだろうな。レースが始まってしばらくすればトイレや売店は空き始めるだろう。」などと考えていましたが、この考え方は甘く、スタート後も場所によっては行列ができていましたし、クラッシュが発生して黄旗(Caution)中は多くの観客がトイレや買い物のために席を離れるのでより一層混雑していました。
「混んでる。混んでる。」と言いすぎてしまいましたが、その反面として、30万人以上が集まる大イベントとして盛り上がりは格別でした。近くの席には、メキシコ人ドライバーであるパト・オワード選手を応援するメキシコ人軍団がいて、ワイワイ盛り上がっていました。
インディ500は、他のアメリカでの一般的なスポーツ観戦とは異なり、ビールや食べ物を場内に持ち込むことができるため、大量のビールやテキーラ(?)などを持ってくる観客がいます。そういった人々はレース中盤になると泥酔状態になっており、これもまたインディ500の独特な雰囲気の醸成に一役買っていました。
2025年の第109回インディ500はホンダ車に乗るアレックス・パロウ選手が初勝利!昨年は最終ラップでのオーバーテイクという劇的な展開でしたが、今年はパロウ選手が終盤も危なげなく勝ち切ったレースとなりました。
予選で2位となり1列目でのスタートとなった佐藤琢磨選手は、レースの序盤から中盤で先頭に立っていましたが、ピットで時間をロスし、その後は上位に食い込むことはできず残念な結果に終わってしまいました。また次の機会に3勝目を期待したいです!
やはり帰りも大渋滞
一般論として、スポーツイベントは「行き」よりも「帰り」の方が人の移動が集中するため混雑するので、行きの渋滞を見て帰りには相当な時間がかかるだろうと覚悟していました。
まず、駐車場から一般道に出るだけで50分かかりました…。ただ、過去に富士スピードウェイでSuper GTのレースを観戦した後に、駐車場から出るのに1時間かかったことがあるので「まぁこんなもんかな」という感じでした。
しかし、その後も僅かに進んでは止まり、僅かに進んでは止まり、の繰り返し。そして、交通規制のため、最短でI-465のハイウェイに進むこともできないという状況。
結局、インディアナポリスの街中を通過してI-465に入るまでに、駐車場を出てから1時間10分かかり、車に乗った時点から計算すると2時間を要しました。
レース後はこのような状態になりますので、旅程についてはかなり余裕をもって計画した方が良さそうです。
感想:世界三大レースの一つとされるだけのことはある
インディ500の決勝に初めて行きましたが、私にとっては改めて「アメリカ」を感じられた良い経験になりました。メモリアルデーの前日に軍人への感謝を強調し、軍の側もイベント開催に協力して戦闘機やヘリコプターで会場を盛り上げる、他ではなかなか行われないことだと思います。
そして、目の前を時速200マイル以上の速さで、しかも33台も連なって過ぎ去っていく迫力と音は現地でしか味わえません。NASCARと比べるとインディカーのエンジン音は耳に優しいので、イヤーマフ無しでも全く問題はありませんでした(NASCARの方はとんでもない爆音で走るので、イヤーマフがないと耳がおかしくなります)。
「同じところを200周も走っているだけなんて退屈なのでは?」というよくあるご指摘については強く否定はしません(実際、レースの半分である100周を過ぎたあたりから帰り始める観客も少なからずいました)。しかし、ずっとスタンドにいてレースを観ていなければならないという縛りはないですし、いろいろな催し物やショップがあるので、そういったところで気分転換をするのもアリです。
決勝日は「子供連れにおすすめできるか?」と言われると難しいです。まず行き帰りの車中で渋滞に耐えることが難しいでしょうし、IMSの場内も人混みで親子ともに疲弊してしまう可能性が高いです。もし子供と一緒にインディ500に行くのであれば、私ならば間違いなく予選日をおすすめします。
あ、インディアナポリスでは誰にも差別的なことを言われたり、不快な思いをしたことはありませんでしたよ。皆さん明るく陽気にインディ500というお祭りを楽しんでいました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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