2024年5月にシカゴからサンフランシスコ(列車の終点はその少し手前のエメリーズビル)まで、カリフォルニアゼファー号という夜行列車に乗って二泊三日・53時間の列車旅をしてきました。少し時間が経ってしまいましたが、その乗車記録です。
カリフォルニアゼファー号について
カリフォルニアゼファー号とは、イリノイ州シカゴのユニオンステーションとカリフォルニア州サンフランシスコ近郊のエメリーズビルを結ぶアムトラック(アメリカ合衆国の国営鉄道旅客会社)を代表する長距離列車です。
シカゴと太平洋側の大都市を結ぶ列車はカリフォルニアゼファー号の他にも2つあり、一つが北側のワシントン州シアトル及びオレゴン州ポートランド(途中駅のスポーカンで分割併合)ーシカゴ間を走るエンパイアビルダー号、もう一つが南側のカリフォルニア州ロサンゼルスーシカゴ間を走るサウスウエストチーフ号です。
今回は、西部横断の3路線のなかで最も変化に富んだ景色を楽しめそうなカリフォルニアゼファー号を選びました。
乗車した当時の時刻表は以下のとおりでした。2枚に分かれてしまっている、かつ、シカゴ発の5列車は下から上へ読まなければならないという仕様でわかりにくいのですが、各駅の出発時刻等を確認することができます。


途中駅のなかで使いやすい時間帯に発着するのは、西行及び東行ともにデンバーくらいでしょうか。オマハやリンカーン、ソルトレイクシティは深夜や早朝の発着で、利用するのはなかなか厳しいかもしれません。
1日目:中西部の穀倉地帯を西へ
ここからはシカゴ発サンフランシスコ行のカリフォルニアゼファー号の行程を一日ごとに区切って書いていきます。
まず、アムトラックの寝台車を利用する場合は、シカゴ駅のラウンジを無料で使うことができます。ラウンジ内は結構なスペースがあり、テーブル・席はたくさんありますので出発前にゆっくりすることができます。遊具などはありませんが、子供用のスペースもあります。飲み物やスナックは無料で提供されており、追加料金を支払えばビールやワイン等のアルコール飲料を飲むこともできます。
出発時間が近づくと、カリフォルニアゼファー号の乗客はラウンジの前へ集まるよう放送があり、係員に先導されて修学旅行の学生のようにズラズラと列を成してホームに向かうことになります。そして、指定された号車の入口の前で乗務員にチケットを提示(スマホにQRコードを表示)して車内に入ります。

シカゴを出発すると、列車はひたすら西を目指します。車窓にはイリノイ州及びアイオワ州の穀倉地帯が広がります。

このような景色がずっと続きます。全行程のなかで最も変化が少ない区間ですが、これはこれでアメリカらしい景色ですね。
乗車直後に乗務員が各部屋まで夕食の予約を聞きに来てくれるので、その予約時間に食堂車へ行きます。アイオワの畑に沈みゆく太陽を見ながらご飯を頂きました。
2日目:デンバーを過ぎると雄大なロッキー山脈越え区間へ
夜中のうちにアイオワ州を抜けてネブラスカ州へ入り、夜が明ける頃にはコロラド州へ。コロラド州の中心地デンバーのユニオンステーションでは約1時間停車し、今後のロッキー山脈越え区間に備えて車両の窓を拭いてもらえます。デンバー停車中は、もちろん車内で朝食をとることもできますし、駅構内で朝食を調達することもできます。

デンバーを出発すると一気に景色は山登りモードに。カーブを曲がりながら上り坂を進んでいきます。そして、次第に茶色・赤色の岩肌が見えてきます。


よくこんなに険しい地形のところに鉄道線路を敷けたなあと感心します。また、このような過酷なルートで毎日旅客列車や貨物列車が安全に運航できるように整備・保線している方々にも感謝です。
3日目:ネバダの砂漠で朝を迎え、シエラネバダ山脈を越えて終着駅へ
3日目の朝はネバダ州で迎えました。日の出の時は水辺がありましたが、日が昇るころには砂漠地帯へ。

砂漠のなかを数時間突っ走りました。

リノ(Reno)という怪しい雰囲気が漂うカジノの街を過ぎると、遂にカリフォルニア州へ入ります。列車は再び山越えの区間へ。標高が高いところでは5月にもかかわらず雪が残っていました。

最後はサンフランシスコ湾を右手に眺めながらエミリーズビル駅に到着。線路脇にはブルーシートのテントがたくさん建っており、カリフォルニアの経済格差をすぐに実感することができました。エミリーズビル駅にて連絡バスに乗り換え、橋を渡ってサンフランシスコへ。サンフランシスコ中心部のセールスフォースタワー前まで移動し、今回のカリフォルニアゼファー号の旅は終了しました。

Family Bedroom
カリフォルニアゼファー号には、コーチ(座席車)、ルーメット(線路方向にベッドが設置された狭い個室)、ベッドルーム(枕木方向にベッドが設置された広い個室)、ファミリールーム(1階車端部に線路方向の小さいベッドと枕木方向の大きいベッドが設置された個室)という四種類の席がありますが、今回はファミリールームに乗りました。
ファミリールームは枕木方向に大人用のベッドが、線路方向に子供用の小さいベッドがあり、それぞれの上部に折り畳み式のベッドが格納されています。したがって、フルで使えば大人二人と子供二人で乗ることができます。この部屋は車端部にあり、ルーメットやベッドルームと異なり左右の景色を自室の中から見ることができます。子供連れで3人か4人での乗車となる場合は、基本的にはこの部屋が一番の選択肢になるのではないかと思います。ベッドルーム2部屋を予約することも可能ですが、その場合は(乗車日によって変わりますが)結構な費用になると思います。
車内での食事
カリフォルニアゼファー号をはじめとしたアムトラックの夜行列車では、食事の料金は乗車料金のなかに含まれているため、食事の都度追加で料金を支払う必要はありません。ただし、アルコール飲料を追加で注文する場合は別です。また、売店でお菓子等を購入する場合も別です。
食事のメニューは以下のとおりです(内容は今後変更があるかもしれません)。

ディナーメニューはAppetizer、Entrees、Dessertから一つずつ選択する方式です。



さいごに
カリフォルニアゼファー号の旅は、二泊三日・53時間という長旅ですが、大平原→山→砂漠→山→海という変化に富んだスケールの大きなアメリカらしい景色を楽しむことができます。時間的にも費用的にもやや贅沢な旅行にはなってしまいますが、鉄道好きであれば必ず楽しめるはずです。
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