カレッジフットボールは、2024年シーズンからプレーオフの出場枠が、従来の4チームから12チームに拡大されました。シーズンはWeek 5を迎えるところで、まだまだプレーオフまでの道のりは残っておりますが、このあたりで改めてプレーオフの仕組みについて整理しておきたいと思います。
全体像
全体像は、以下の図のとおりです。
こちらに必要十分な情報が網羅されていますが、日本語でそれぞれ説明していきます。
出場校
プレーオフに参加する12チームは、カレッジフットボールプレーオフ選考委員会によって最上位にランキングされた5つのカンファレンスチャンピオンと、それに次ぐ7チームです。
チームのランキングは、2023年シーズンまでと同様に、引き続き選考委員会(選考委員会の構成などについては後述します)によって行われます。
ひとつのカンファレンスから出場できるチーム数に制限はありませんので、例えばSECが12のうち半分以上の枠を占めるということも理論上はあり得ます。
また、特定のカンファレンスの出場権を保証するルールでもありません。もっとも、SEC、Big Ten、ACC、Big 12の各カンファレンスの王者は、ほぼ確実に出場権を獲得し、残りの一枠にMountain West、 American Athletic Conference、Sun Belt、Mid-American Conference又はConference USAの王者のいずれかが入る、ということになると予想されています。
各カンファレンスの最上位の5チームには、最低ランキングの条件はありません。例えば、ランキング23位のカンファレンスチャンピオンが、5番目のカンファレンスチャンピオンの枠でプレーオフに出場することもあり、その場合は、ランキングで12位となったチームはプレーオフの出場枠から押し出されることになります。
ランキング及び次に述べるシード順位は、各カンファレンスのチャンピオンシップが行われた後の、12月8日に発表されます。
シード順位
カンファレンスチャンピオン5校のうち上位4チームが第1シードから第4シードとなり、1回戦がシードされます。
一方で、ランキングで5番目となったカンファレンスチャンピオンは、選考委員会によるランキングの順位、又は、ランキングが12位より下の場合は第12シードとなります。他方で、カンファレンスチャンピオンではないものの、ランキングで上位4位までに入ったチームは、第5シード扱いとなります。このため、シード順位は、選考委員会による最終的なランキングとは異なるものとなる可能性があります。
ノートルダム大のような独立校は、カンファレンスタイトルを獲得できないため、1回戦のシードを獲得することはできません。また、現在Pac-12に所属しているワシントン州立大やオレゴン州立大も同様に、プレーオフに出場する資格はあるものの、NCAAとカレッジフットボールプレーオフのルール上、独自のカンファレンスを構成しているとは認められないため、第1から第4シードとなることはありません。
Playoff First Round
第5から12シードに選ばれた8チームは、まず1回戦を戦い、上位シードが下位シードをキャンパス内又は上位シード校が指定する会場で迎え撃つことになります。組合せは、第5シードvs第12シード、第6シードvs第11シード、第7シードvs第10シード、第8シードvs第9シードです。
Playoff Quarterfinals
選考委員会は、まず、カンファレンスチャンピオンとなった上位4チームを、ボウル主催のプレーオフ準々決勝(2024年シーズンの場合は、①フィエスタボウル、②ピーチボウル、③ローズボウル、④シュガーボウル)に割り当てます。割当てに際しては、第一に歴史的なボウルの関係を考慮し、次にランキングを考慮して行われます。
例えば、シュガーボウルがプレーオフ準々決勝を主催し、SEC王者がランキング1位、Big 12王者がランキング3位の場合、SEC王者はシュガーボウルに、Big 12王者は別のボウルゲームに割り当てられることになります(公式にこのような説明がなされているので、シュガーボウルに関してはよほどのこだわりがあるのでしょうね。シュガーボウルは、SECとBig 12の双方との契約があるようなので、あらかじめ疑義を解消しておく目的かもしれませんが。ローズボウルもBig Ten王者の試合で確定だと思われます)。
なお、各ボウルゲームについては、改めて別の記事で紹介をしたいと思いますので少々お待ちください。
カンファレンスチャンピオンの上位4チームが各ボウルゲームに割り当てられた後、プレーオフ準々決勝のそれぞれの対戦相手はブラケットによって決まります。すなわち、第1シードの対戦相手は第8シードと第9シードの勝者、第2シードの対戦相手は第7シードと第10シードの勝者、第3シードの対戦相手は第6シードと第11シードの勝者、第4シードの対戦相手は第5シードと第12シードの勝者、となります。
レギュラーシーズン中に対戦したことのあるチーム同士や、同じカンファレンスに所属するチーム同士の再戦を避けるための修正はありません。また、再シードはなく、一度決まったトーナメント表が途中で修正・変更されることはありません。
Playoff Semifinals
プレーオフ準々決勝に勝った4チームが準決勝に駒を進めます。プレーオフ準決勝のボウルゲームは、最上位シードのチームに優先的に割り当てられます(意味が分かりにくかったのですが、原文は”The highest seed will receive preferential placement for the Playoff Semifinal bowl assignment”と書かれており、準々決勝と同様に、ボウルゲームの歴史的経緯や地理的条件を踏まえて、最上位シード校にとって最も望ましいように割り当てるという趣旨だと理解しました)。
2024年シーズンは、2025年1月9日にオレンジボウル、翌10日にコットンボウルが準決勝として開催されます。
National Championship
準決勝を制した2チームが晴れて決勝戦(National Championship)の舞台に立ちます。
2024年シーズンは、2025年1月20日に、アトランタのメルセデススタジアム(アトランタ・ファルコンズの本拠地)で開催されます。
2025年シーズンは、2026年1月19日に、マイアミ近郊にあるハードロックスタジアム(マイアミ・ドルフィンズの本拠地)で開催されます。
なお、National Championshipの開催は月曜日の夜に設定されていますが、アメリカでは1月の第3月曜日はMartin Luther King, Jr. Dayという、1964年にノーベル平和賞を受賞した公民権運動の先駆的なリーダーの一人、Martin Luther King, Jr.牧師を称える国民の祝日であり、休みの日のナイトゲームとして行われます。
選考委員会について
選考委員会は13人により構成されており、その属性は、6人の元コーチ又は選手、7つのカンファレンスを代表する6人の現職アスレチックディレクター(Power 4の各カンファレンスから1人ずつを含む)、そして1人の元スポーツライターとなっています。
各委員は、以下の要素を考慮してランキングを決めるものとされています。ただし、これらの各要素には重み付けはされておらず、個々の委員は、特定の一要素について、他の委員よりも大きな価値を置くことができます。
- カンファレンス優勝
- スケジュールの過酷さ(Strength of Schedule)
- 直接対決の結果
- 共通の対戦相手との結果比較(点差は考慮しない)
- シーズン中のチームの成績に影響を与えた可能性のある、あるいはポストシーズンの成績に影響を与える可能性のある主力選手やコーチの欠場など、その他の関連要因
情報源
本記事の執筆にあたっては、以下のウェブサイトを参照しました。
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