レベニューシェアリングに関する集団訴訟にて和解の予備承認

アメリカンフットボール

NCAAが被告となった重大訴訟 (House v. NCAA)

2024年10月7日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所のClaudia Wilken判事は、House対NCAAと総称される集団訴訟(クラスアクション)における和解合意について予備承認を下しました。

あくまでも予備承認なので確定ではなく、最終承認は2025年4月7日に予定されています。もしもこの画期的な和解が成立すれば、カレッジスポーツ界全体に大きな影響を与えることになります。

本記事では、この訴訟及び和解がどのような意味を持つのかについて説明します。

この和解がもたらすもの

2025年4月に和解の最終承認が行われると仮定すると、原告との交渉に基づき、2025-26年シーズンから、以下の変更が実施されることになります:

  • これまで学生アスリートは、スポーツ奨学金や学外の団体(コレクティブ)から資金提供されるNILを通じてのみ収入を得ることができましたが、今後、大学は、年間2200万ドルから2300万ドルと予想される収入分配(revenue sharing)を通じて、学生アスリートに補償をすることが認められました。金額はパワー5に属する学校の平均収入の22%相当とされ、毎年4%ずつ増加します。
  • さらに、2016年から2021年にチームに参加したすべてのディビジョンIの学生アスリートは、NIL(Name, Image and Likeliness)のバックペイの対象となります。House訴訟において、裁判所は、これらの学生アスリートはNCAAによりNILで稼ぐことを妨げられたと認定しました。そして、訴訟の当事者は、NCAAがこれらのクラスメンバーに約28億ドル($2.8 billion)という巨額の賠償金を支払うという和解交渉を行い、NCAAはその支払に合意しました。その賠償金の分配方法は裁判官が決めるとされています。
  • また、和解合意では、すべてのスポーツにロースター枠の上限が設けられ、ある年にそのチームの一員として競技に参加できる選手の数に上限が設定されました。これは、ウォークオン(Walk-on)と呼ばれる奨学金なしで入部する選手の削減・減少につながります。
  • 以前は、奨学金の枠の上限について、競技毎にNCAAにより制限されていましたが、和解合意が最終承認された場合は、大学はロースター枠の数だけ奨学金を付与することができるようになります。和解合意で提案されている枠は、フットボールが105(現在は85)、男子及び女子バスケットボールが15(現在は13)、野球が34、男子及び女子サッカーが28、ソフトボールが25、バレーボールが18とのことです。

今後の流れ

今回の予備承認はあくまでも初めの一歩であり、10月18日から現役アスリート及び元アスリートへの条件と請求手続の通知期間がスタートします。
また、和解合意について異議を述べることも認められており、その申出の期限は2025年1月31日とされています(請求の期限も同日まで)。
最終承認の申立ての期限は3月3日、そして、最終承認の審問は4月7日に開かれる予定です。

続報がありましたら、改めて紹介したいと思います。

ちなみに、もし、ミシガン大学体育局がこの新たなNCAA奨学金制度を満たす運用を行う決定をした場合、29の各競技チームの学生アスリートをサポートするために必要となるコストは、年間で2900万ドル増加することが見込まれるようです。この増加コストを賄うため、早速、支援や寄付を要請する声明が体育局長から出されており、今後、各大学は対応に追われることになるでしょう。

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