マスターズ2025観戦記

ゴルフ

ローリー・マキロイ選手の感動的な優勝、そして史上6人目のキャリアグランドスラム達成で幕を閉じた2025年のマスターズ。幸いにも、マスターズの3日目(土曜日)にオーガスタナショナルゴルフクラブにて熱い戦いの一部始終を見ることができましたので、その記録を残したいと思います。

今回はツアーではなく、チケット等をすべて個人手配した旅ですので、自力でマスターズ観戦の計画を検討中の方のご参考になれば幸いです。

なお、マスターズでは、木曜日から日曜日までの競技日はゴルフ場内への電子機器の持ち込みが禁止されているため、コースなどの写真は撮れておりません。また、試合結果についても様々なメディアやYouTube動画等で詳細に紹介されていますので割愛します。その点はご了承ください。

私が感じたマスターズの世界観

いきなりではありますが、チケット入手などの詳細に入る前に、私が今回のマスターズ観戦で感じたことを共有させてください。

マスターズでは携帯電話等の電子機器の持ち込みが禁止されています。そのためパトロンは「映える」写真の撮影や選手のスイング動画を撮ることなどに気を取られることなく、選手の一挙手一投足に視線を向けることになります。さらに、マスターズの会場には、通常のゴルフのトーナメントでは一般的な電光掲示板が一切ありません。したがって、当該ホールでプレーしている選手の詳細情報やプレーのリプレイ、他のホールの状況などはその場では一切わかりません。他のホールから大歓声が聞こえたときも、その歓声の方角からホールと選手を推測し、手動のリーダーズボードに反映されるのを待つのみです。

このような昔ながらのスタイルにより、その場にいるパトロンとしては一度しかない目の前のプレーに自然と集中することになります。これがマスターズの独特の雰囲気を作っているのではないかと思いました。様々なスポーツイベントや団体が、SNSなどへの投稿や露出を増やすことに努めているのに反して、マスターズは自らやメディアを通じて情報発信をするものの、一般客による写真付き投稿での拡散はできません。これは圧倒的な知名度とブランド力があってのことかもしれません。

また、私が気になった点がもう一つあります。それは場内でゴミ箱以外に捨てられたゴミが非常に少ないということです。アメリカでスポーツ観戦をしたことがある方ならご存じだと思いますが、アメリカのスタジアムは試合終了後には座席の下や通路に食べ残しや空き缶等のゴミが「どうしたらそんなに汚せるの?」というレベルで散乱していることが通常です(プレーヤーズ選手権が行われるTPCソーグラスのアイランドグリーンで有名な17番を囲むとても美しい丘ですら、競技終了後には空き缶が散乱していました…。観戦記はこちら)。しかし、マスターズではそのような光景はなく、まるで日本かのようにきれいな状態で一日の終わりを迎えていました。一つの要因としては、缶ビールが販売されていないこと+マスターズロゴ入りのプラスチックカップで飲み物が販売されているため、お土産用にカップを持ち帰る人がほとんどであることが関係していると思います。アルコール飲料は緑、ノンアルコール飲料は白のカップでマスターズロゴが入っていて、観戦の記念に持って帰りたくなる仕様です。

チケット入手方法

マスターズ観戦に際して最大の問題となるのが入場チケットの入手だと思います。マスターズの公式サイトでは、チケットとバッジの2種類が挙げられています(以下では簡潔に「チケット」とのみ表記します)。前者は毎年6月頃に応募を受け付けて抽選で販売されます。月曜日から水曜日までの練習日であれば$100、木曜日から日曜日までの試合日は$140で購入可能ですが、抽選倍率が極めて高く、なかなか当選はしないようです。後者は一般応募・抽選といったチャンスはなく、特定のパトロンに割り当てられるものなので、オーガスタナショナルゴルフクラブにつながりのない人には入手困難なのではないかと思います。

そこで頼りとなるのがStubhub等のチケット転売サイトです。しかしマスターズ公式サイトにはチケットに関して以下の記載があります。

“As a reminder, Augusta National, Inc. is the only authorized source/seller of Masters Tickets. The resale of any Masters Ticket is strictly prohibited. Holders of Tickets acquired from third parties, by whatever means, may be excluded from attendance to the Tournament.”

これを読んでStubhubなどで転売されているチケットを買って大丈夫なのかととても不安になりました…。しかし、インターネット上の情報では、Stubhubで購入したチケットで入場できたという人のコメントが多数見受けられたため、Stubhubを通じて購入することを決意しました。

定価は上記のとおりですが、転売価格はとんでもなく高額になっており、時期によって多少の変動はあるものの、月~水の練習日であれば$2000前後、木~日の競技日であれば$3000前後で取引されていました(1日分で!?です)。1日券だけでなく、木曜・金曜の2日券や土曜・日曜の2日券、また木曜から日曜までの4日券など、いろいろな形態で売られていました。

NFLやカレッジフットボールの転売チケットの場合は、試合日が近付くにつれて若干価格が下がる傾向があったため、年初からしばらく様子を見ていましたが、一向に価格が下げる気配が見えなかったため、チケット確保を優先して3月下旬に一番低い価格で出品されていたものを購入しました。大会1週間前になると、さらに価格が上昇していましたので、行くと決意したのなら早めに確保しておいても良いのではないかと思います。

今日では、アメリカにおけるスポーツのチケットはほとんどがデジタルチケット形式で配られ、物理的な紙のチケットはほぼ絶滅しています。しかしマスターズは例外で、(電子機器持込禁止なので当然といえば当然ですが)有形のチケットを持ってゲートを通過しなければなりません。そこで、Stubhubで購入した場合のチケット受取方法について説明します。

出品時にはチケット授受の方法について「FedExでの郵送」と表示されていたのですが、数日後にStubhubからメールがあり、一方的に「現地での受取」に変更されました。そして大会の1週間程度前にStubhubから具体的な受取場所(”Last-Minute Services Center in Augusta”と呼ばれていました)の住所がメールで通知されました。

こちらがStubhubに指定されたバッジ受取場所の土曜日朝の様子です。オーガスタナショナルゴルフクラブから約1マイルほどの場所にある普通の民家のガレージを使っていました。朝7時から受取開始ですが、7時20分の時点でこのような列ができていました。ちなみに、超高額で取引されているバッジを多数取り扱っているということもあって、複数の警察官が周辺で目を光らせていました。

列に並んで約40分、ようやく受付をすることができました。しかし、バッジの準備ができていないということでそこから更に約30分待たされ、8時30分頃にようやく土曜日一日用のバッジを受け取ることができました。

バッジにも”NOT FOR RESALE”とはありますが…

オーガスタナショナルゴルフクラブへの行き方・駐車場情報

オーガスタはアメリカ南部のジョージア州にある街ですが、実際にはジョージア州の東端に位置し、サウスカロライナ州との州境からすぐの場所です。Googleマップ等を利用していろいろ調べてみると、ジョージア州の最大都市で全米でも最大級のアトランタ国際空港を利用して西から行くよりも、東のサウスカロライナ州の中心都市であるコロンビア方面からオーガスタに向かう方が渋滞が少なく、ホテルも安いようであったため、東側からアクセスするルートを選択することにしました。最終的には航空券の兼ね合いで、ノースカロライナ州の中心都市であるシャーロットからレンタカーでオーガスタに向かうことにし、中間地点にあるサウスカロライナ州コロンビアのホテルに宿泊することに決めました。

ただし、シャーロットからオーガスタまでは164マイル(約264キロメートル)・約2時間30分の距離がありますので、アメリカでの車の運転にある程度慣れている方でないと厳しいかもしれません。コロンビアからオーガスタまではI-20というハイウェイの一本道で70マイル(約113キロメートル)・約1時間10分の距離です。

オーガスタの街にも小規模ではありますが空港はあります。普段は長閑な空港だと思いますが、マスターズ開催期間中は全米各地から臨時便が飛んでいます(デトロイトからもオーガスタ行きの臨時直行便が飛んでいました)。航空券代は高額ですし、席数も多くはないという懸念はありますが、移動時間や体力をセーブしたいという場合はオーガスタへの臨時便を使うという選択肢も無くはないと思います。

次に駐車場についてです。

マスターズの駐車場は↓のとおりです。ありがたいことに、ゴルフ場から離れた場所に駐車してシャトルバスで移動、という方式ではなく、オーガスタナショナルゴルフクラブの西側に広がる広大な敷地に駐車をして、歩いてゲートまで向かうというスタイルです。私はオーガスタナショナルゴルフクラブの南側にあるチケット受取場所から向かったため、↓の地図でいえば下から上に向けて車でBerckmans Roadに入り、South Gate寄りの場所に車を止めることができました。下(南)から上(北)へ向かう道(Berckmans Road)は、土曜日の8時40分頃はほとんど渋滞しておらず、意外にもすんなり駐車場へ行けました。多くの人はI-20のExit 199からWashington Roadを通って北側からBerckmans Roadに右折して入るはずなので、この経路を使う場合は多少の渋滞を覚悟した方が良さそうです。

なお、アメリカではスポーツイベント会場の駐車場には仮設トイレが多く設置されていることが一般的ですが、オーガスタナショナルゴルフクラブの駐車場には、私が見た限りでは仮設トイレは設置されていませんでした。そのため、トイレに行くのであればゴルフ場内のトイレを利用しておいた方が良いです。

オーガスタナショナルゴルフクラブの西側に広がる巨大な駐車場。駐車した場所はしっかり覚えておいてください。あまりにも広いし車も多いので戻ってこられなくなります…

コースマップ

マスターズが行われるオーガスタナショナルゴルフクラブの地図です。著名なアーメンコーナーと呼ばれる11番・12番・13番は南側の角にあり、North GateやSouth Gateから入ってすぐのところにはマスターズグッズを販売しているショップがあります。ショップは午前中は大混雑(お店に入るまでに30分以上並ぶこともあります)していましたが、午後になるとほとんど並ばずに入店できる状態になっていました。

マスターズでは、バッジ1枚につき2回まで入場することができるため、ショップで買った品物を一旦駐車場の車に置きに行き、再度入場するということもできます。また、ショップの隣には購入品預かり場や宅配発送窓口もあるため、車に戻るのが面倒だったり、すでに2回目の入場をしてしまった場合は、それらを利用するのも一つの手です。

地図の上の方にあるクラブハウスや1番のティーイングエリア、18番グリーンのある辺りが一番高く、地図の下の方に行くにつれて低くなっています。一番低い場所である12番にRaes Creekという小川が流れています。

コースの最北部には大変立派な練習場があります。ドライビングレンジの後ろには常設のグランドスタンドがあり、椅子に座って選手らの練習風景を眺めることができます。

注目ホールについて

個人的な注目ホールの感想については改めて別の記事でまとめたいと思いますので、是非そちらをご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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