オーガスタナショナルゴルフクラブ 各ホールを見ての感想

ゴルフ

2025年マスターズ観戦記の続編として、オーガスタナショナルゴルフクラブの各ホールを見て回った感想を書きたいと思います。ただのゴルフ好き一般人の感想として受け取ってください。オーガスタナショナルで販売されていた公式パンフレットには、前年王者のスコッティ・シェフラーによる各ホールの紹介も記載されていたので、所々で言及しています。

1H 445yds Par4 (Tea Olive)

打球方向である前方以外をぐるっと大勢のパトロンに囲まれた状況でスタートする1番ホール。練習用のパッティンググリーンから真っ直ぐ歩いてこの1番のティーイングエリアに立ち、自分の名前をコールされる気分はどんなものなのでしょうか。

ティーイングエリアは少しだけ台になっているものの、基本的には常に多くのパトロンが囲っているため、良い場所をキープしない限り、観客目線ではティーショットは見にくいホールといえます。他方で、1番のティーイングエリアから少しだけ歩いたところにあるパッティンググリーンは比較的人が少なく、最後のパッティング練習をする選手やキャディや関係者と談笑する選手を相当近くで見ることができます。キャディバッグの中身を覗き見ることもできるので個人的にはおすすめの場所です。

1番は大きく下ってそこから急傾斜で上り、その後はグリーンまで緩やかに上っているホール。また、少しだけ右ドッグレッグになっています。フェアウェイの右側には縦に33ヤードの長さのあるバンカーが待ち構えており、ティーイングエリアから276ヤードで届いてしまいます。バンカーを超えるためには309ヤードが必要です。最終日のマキロイは、ティーショットがギリギリでバンカーに捕まってしまい、結局ダブルボギースタートとなってしまいました。

2H 585yds Par5 (Pink Dogwood)

2番については、正直なところ今回の現地観戦までは印象が薄かったホールだったのですが、今回を機にそれががらりと変わりました。今回、最も印象に残ったホールと言っても良いかもしれません。

左ドッグレッグのロングホールですが、ティーイングエリアから311ヤードのところにあるバンカーを超えたあたりから強烈な下りになっています。オーガスタナショナルではパー5でスコアを伸ばすのが上位進出のために重要だといわれていますが、ここもできればイーグルやバーディを奪いたいところ。2024年大会では、ホール難易度は17位で平均ストロークが4.657。しかし、ティーショットが成功したとしても、厳しい左足下がりから、「T」字型で手前両脇にバンカーが待ち構えるグリーンに、高弾道の止まる球を打たなければ良い結果は得られません。

パトロンの皆さんもイーグルやバーディがよく出るホールと知ってか、グリーン周りには常に多くの人がいました。また、2番グリーンの周りは、少しだけ丘になっていて後ろからでもグリーン上を見ることができました。デシャンボーはその圧倒的な飛距離を活かして、4日連続でバーディを奪っていました。オーガスタナショナルの真ん中あたりにあるので、歩き回っているとよく2番グリーン周辺に行き着きます。

3H 350yds Par4 (Flowering Peach)

オーガスタナショナルで最も距離の短いパー4。しかし、グリーンの左手前は崖のような急傾斜になっており、2打目が短いと傾斜であらぬ方向へボールが転がっていってしまいます。画面上で見ている以上に難しいホールという感じでしょうか。

フェアウェイ左側にある4つの特徴的なバンカーを超えるためには277ヤードが必要ですが、マスターズに出場するようなトップ選手たちにとっては問題のない距離です。

4H 240yds Par3 (Flowering Crab Apple)

公式パンフレットにおいてオーガスタナショナルの「4つの困難」の一つとして紹介されている4番から6番ホール。この3ホールはコースの西端にあります。

4番は、距離があって(ティーボックスが前に出されることがありますが)、打ち下ろしで風の影響を受け、かつ、右前と左前にバンカーが待ち構えるというチャレンジングなホール。個人的にはとても好きなホールです。2024年のデータでは、4打(ボギー)以上が88回なのに対してバーディは僅か16回のみでした。キレキレのアイアンショットでビタっとピンにつけるショットを見ることができると、「さすがマスターズ、選手も舞台も最高だな」という気持ちになります。

しかし、パトロンとして現地でプレーを見るのにはやや難しさがあるなと感じたホールでもあります。スタンドの席が確保できれば問題ありませんが、ティーイングエリア周辺もグリーン周辺もあまりスペースがないため、早めに良い角度の場所に陣取らないとプレーは良く見えないと思います。

5H 495yds Par4 (Magnolia)

5番は難易度が高いホールとして名物ホールの一つになっていると言っても過言ではないような気がします。2024年大会のデータでは、平均ストロークが4.302で難易度3位。2019年に改修されて40ヤード距離が伸びました。ティーショットは打ち上げで、2打目地点からはグリーンに向けて打ち下ろしとなるアップダウンありで左ドッグレッグのホールです。

フェアウェイ左サイドに縦に二つ並んである深いバンカーが特徴で、フェアウェイの右側のロープ外のパトロンエリアからは、バンカー内にいる選手の頭が見えないくらいです。このバンカーを超えるためにはキャリーで314ヤードが必要になります。手前のバンカーまでは279ヤードあります。

South Gateから入場した場合、多くの方は最初にこの5番に到達するのではないかと思います。

6H 180yds Par3 (Juniper)

打ち下ろしのパー3。ティーイングエリアの先は崖のようになっており、ティーイングエリア左脇からグリーン左脇まで急傾斜の下ってから上る通路があります。この道の下りの部分からはグリーン面がよく見えるので、意外にも観戦しやすい場所かもしれません(傾斜部分に立っていると足は疲れますが…)。また、スコアボードもありますので、進行状況もよくわかります。

そして、6番のティーイングエリア周辺や坂道からは16番のグリーンを見ることもできるので、2つのパー3を同時に楽しむことができます。

なお、私が行った2025年マスターズの時には6番の傾斜地部分にあるアザレアの花は枯れてしまっており、中継に映ることはなかったはずです。オーガスタナショナルといえど花が咲き誇るタイミングを大会に合わせることは容易ではないのでしょう。

7H 450yds Par4 (Pampas)

グリーン手前に3つ、後ろに2つのバンカーが待ち構えるホール。しかも打ち上げかつ奥行が20ヤードもない砲台グリーンになっているので、一般アマチュアゴルファーであればパーオンは極めて困難なのではないかと思われるホール。フェアウェイ左側には平坦な場所があるらしく、ティーショットの精度が要求されます。

マスターズに出場するような選手は、2打目をバンカーに入れてしまっても、3打目のバンカーショットでしっかりとピンに寄せてきますので、そんな巧みな技術を間近に見ることができます。

7番のグリーンは2番のグリーンと隣り合っているので、ここも一粒で二度おいしい的な観戦場所です(もっとも、人気選手の組の場合は人が多すぎて両方見ることは困難かもしれませんが)。

8H 570yds Par5 (Yellow Jasmine)

打ち上げとなるパー5。フェアウェイ右サイドには縦に約50ヤードもあるバンカーが待ち構えており、これを超えるためにはキャリーで314ヤードが必要。バンカー先端からグリーンまでは残り227ヤード。2025年マスターズ最終日最終組の二人、マキロイとデシャンボーがともに一打目をバンカーに入れてしまっていたので、バンカー越えは容易ではなさそう。

2024年マスターズのデータでは、難易度18位で最もスコアを伸ばしやすかったホール。イーグルが4個、バーディが121個に対してボギーは18個、ダブルボギーは2個で、上位を窺うためにはバーディが欲しいところ。

9H 460yds Par4 (Carolina Cherry)

前半最後のホールは、ティーショットは打ち下ろしで、二打目は爪先下がりのライから打ち上げ、そして、グリーンは奥から手前に強烈に傾斜しており、どこもかしこも傾斜が絡むという特徴的なところ。現地で見てみるとテレビ中継とは異なる感想を抱くことになるはずです。

9番と18番の間のスペースから9番を見ていれば、フェアウェイの傾斜に従って自然とボールが近くに転がってくるはず。9番グリーンは1番ティーイングエリアと18番グリーンの間にあるため、時間帯によってはいろいろな組の選手をあまり移動することなく見ることができます。

後半9ホールに進む前に:売店・トイレ事情について

勝負を決める後半9ホールに進む前に、マスターズ開催中のオーガスタナショナルゴルフクラブの売店とトイレについて書きたいと思います。

まず、ゲートを入ってすぐのところやグランドスタンドの脇などに、表面にペアリングとスタート時間、裏面にコース内の地図が書かれた紙がポストのような箱に入っているのでそれを入手してください。

売店はConcessionとしていろいろな場所に常設の建物として設置されており、自分で欲しいサンドイッチや飲み物を取って、最後にレジで精算する方式で購入します。驚くことに、サンドイッチは安いものだと$1.5(名物のEgg SaladとPimento Cheese)、ソーダは$2、ビールであっても$6というアメリカらしからぬ安さ!

グッズショップは大きな店舗がNorth GateとSouth Gateのそれぞれ近くにあり、午前中は入店までに30分以上を要する行列ができています。商品は飛ぶように売れていきますが、常にお店の方が商品を補充しているので、余程のレア物でなければ土曜日だろうが午後だろうが買うことはできると思います。

トイレに関しては、他の大会とは異なり、オーガスタナショナルには仮設のものはなく、常設のトイレしかありませんでした。トイレの場所自体は多くはありませんが、一つ一つのトイレの規模が大きく、また、ボランティアの方が数名がかりで案内・整理をしてくれているので、男性トイレの方はスムーズに使うことができます。女性用トイレの方は、大規模イベントではいつものことだと思いますが、常時に行列状態でした。

10H 495yds Par4 (Camellia)

長い打ち下ろしのパー4で、このあと12番のティーイングエリアまでひたすら下っていきます。1935年以前はオーガスタナショナルの1番ホールとして使用されていました。そして、その長い歴史において、最も難しいホールとされています。傾斜は非常に急で、2打目は相当な左足下がりで打つことになります。パトロンの足への負荷も高いです。

グリーンは右から左へ傾斜しており、2打目を左に外すと苦しくなります。2011年大会の最終日でマキロイが7打を叩いてしまった時も、グリーン左に外してしまいトラブルとなりました。そんな苦い記憶のある10番において、マキロイは2025年大会最終日でバーディを奪い、この時点で2位に4打差をつけました。これで流れは決まったかに思われましたが…。そう簡単には事は進みませんね。

11H 520yds Par4 (White Dogwood)

オーガスタナショナルゴルフクラブを代表する存在であるアーメンコーナーの入口となるホール。10番から引き続いて打ち下ろしとなります。ティーイングエリアはかなり奥まった位置にあります。フェアウェイは左から右に傾いていますが、フェアウェイ右側には木が3本あることにより、ティーショットの狙いどころは限定されています。

そして、グリーンの左にはグリーンと同じくらいの大きさの池、奥にはラエズクリーク、右奥にはバンカー、そして右手前にはコブと全方位に罠が仕掛けられた高難度のホール。

アーメンコーナーはオーガスタナショナルの南の角の最も低い場所にあります。実際に11~14番に囲まれた部分は三角形となっており、売店、グッズショップ、グランドスタンド、スコアボート、トイレなどが一通り揃っています。11番グリーン及び12番のティーイングエリア周辺は常時混んでおり、11番グリーンから13番ティーイングエリアまでを見通せる場所は特等席ですが、良い位置を確保するのは至難の業でした。

12H 155yds Par3 (Golden Bell)

世界で最も有名なパー3のホール、いやシンプルに世界で最も有名なホールと言えるかもしれません。選手は、11番グリーンから何も遮るものがなく12番ティーイングエリアまで歩いていき、拍手で迎えられます。

ゴルフダイジェスト誌のYouTube動画で、この12番の難しさが詳しく解説されていますので、興味がある方は是非ご覧ください。

テレビ中継だとわかりにくいですが、グリーン手前を横切っているラエズクリークは、真横ではなく左手前から右奥に向かって斜めに横切っているという点がポイント。これに沿ってグリーンも斜めにできています。そして、最終日は決まって右端にピンがセットされることで、数多の悲劇が演出されてきました。ティーイングエリア後方からは、手前からクリーク→バンカー→グリーン→バンカーと段々になっていることもあってか、グリーンはとても細長く見えました。

右にあるピンを直接狙ってしまうと、フェードがかかりすぎて右にいったり距離が足りなかったりするとクリークへ、左にいってしまうとバンカーへ。定跡はグリーンセンター狙いということらしいですが、言うは易く行うは難し。12番の上空では風の向きがコロコロと変わるため、クラブ選択も難しく、オーガスタナショナルで最も短いパー3といえど緊張感は相当なもの。2019年大会でタイガー・ウッズが優勝したときは、教科書通りにグリーン真ん中に乗せて2パットでパーを獲りましたが、最終日に首位争いしている状況でそのようなプレーができるのは流石の一言。

しかし、以上のことは右打ちの選手に適用されることで、左打ちの場合は素直にドローボールで狙うことができ、ドローであれば風の影響はある程度抑えられるため、難度が異なってくるようです。ちなみに、クリークに掛かっている橋は「ベン・ホーガン・ブリッジ」と呼ぶそうです。

13H 545yds Par5 (Azalea)

オーガスタナショナル屈指の美しいホールであり、スコアが上にも下にも動きやすいホール。テレビ中継でも、クリークやグリーン越しにピンクに咲き誇るアザレアの花が印象に残ります。しかし、2025年は開花の時期が早すぎたのか、例年ほどはアザレアのピンク色は目立っていませんでした。

2023年に総距離が510ydsから545ydsへと35yds伸び、難度は若干上がったと思われますが、2024年大会のデータでは難易度16位と依然としてイーグル・バーディのチャンスがあるホールとして盛り上がりどころとなっています。このホールの改修の歴史については、以下のゴルフダイジェスト社の動画で詳しく紹介されています。隣のゴルフ場の土地を買い取ってティーイングエリアを後ろに下げるなんて日本では考えにくいですよね。

13番のティーイングエリア周辺にはパトロンは入れません。二打目地点は強烈なつま先上がりとなっており、ツーオンを狙う場合にはそこからフェードでグリーンを狙うことが求められ、それがこのホールの難しさといわれています。私は13番グリーンの右脇にあるグランドスタンドで観戦していましたが、超一流選手たちでも、ロングアイアンで打ってグリーン上でボールを止めることは容易ではなく、多くの選手は奥のバンカーに入れてしまっていました(そこからでも三打目を寄せてバーディーを取っていくのですが…)。このグランドスタンドは13番の二打目・三打目、そしてグリーン上に加えて、14番のティーショットを見ることもできるので結構楽しめる観戦場所だと思います。

14H 440yds Par4 (Chinese Fir)

14番は比較的地味なホールではないかと思います。残念ながら、私自身もあまり印象には残っていません…。2024年大会の難易度は10位で、何とも言えません。。。

おそらく一番の特徴はグリーンの傾斜で、真ん中を横切る形で山があり、ピンポジションに応じて狭いエリアに打って止める、又は、傾斜をうまく使うことが求められます。

15H 550yds Par5 (Firethorn)

ここも終盤でスコアが上下するホール。ホール全体としてはティーショットは打ち上げで、二打目以降はグリーンに向けて打ち下ろしていく形状。ティーショットをフェアウェイの左側に打ってしまうと、その先にある木が邪魔になりグリーンを狙いにくくなってしまうものの、基本的にはフェアウェイは広くて思いっきり飛ばせるホール。フェアウェイとグリーンを隔てる形で池があり、さらに、グリーン奥にも16番の池が待っています。

グリーンの右手前は池に向かって強烈に下っており、スピンがかかりすぎてボールが池へコロコロと転がり落ちていく光景は何度も見ました。ハリケーンによってグリーン奥の木が数本倒れてしまったことにより、15番と16番の境界となる木が減り、16番側のグランドスタンドから15番グリーンがよく見えるようになりました。私も16番ティーイングエリアそばのグランドスタンドから15番と16番を同時に観戦しました。16番はパー3なのでグリーン上の動向も追えることから、結構良い観戦場所だと思います。

16H 170yds Par3 (Red Bud)

タイガー・ウッズによるあの伝説的チップインバーディーが生まれたホール。グリーンまでずっと池があり、水面の反射により何とも美しい景観となるホールでもあります。

伝統的に、最終日は真ん中左寄りにピンがきられていましたが、2025年大会ではジャック・ニクラウス氏に敬意を表して、彼が50年前の1975年大会でマスターズ5度目の優勝したときの最終日のピンポジション(真ん中奥の上の段)が採用されました。

16番はSouth Gateに近い場所にあるため、帰る前の最後の観戦場所としても適していると思います。

17H 440yds Par4 (Nandina)

個人的には、バックナインのなかでは14番と並んで存在感が薄いと感じるホール。グリーンまでずっと上っており、グリーン手前に二つのバンカー、グリーン奥は急な下り。意外にも、2024年大会の最終日では、この17番が最も難易度が高いホールになっていました(ちなみに3日目も難易度2位)。

18H 465yds Par4 (Holly)

説明が不要なほど著名なオーガスタナショナルの最終ホール。左右に高く聳える木がプレッシャーを与えてきます。真っ直ぐに打ってしまうとバンカー一直線になるため、木で打ち出し方向が制限されているにもかかわらず少しフェードで打っていく必要があります。二打目地点からグリーンまでは非常に急な上り坂となっており、普通に歩いて上るだけでも足に疲労感が発生します。

グリーン周りには、早朝から場所取りをした席がズラッと並べられ、お昼過ぎや午後早い時間帯であればそこに人はいないため見やすいのですが、午後遅い時間になり人気選手が18番に来る頃には、設置されていた折り畳み椅子にはその所有者が座り、その後方にも人が大勢集まることから、生で選手のプレーを見ることは難しい状況になります。

しかし、オーガスタナショナルらしい起立・拍手での選手の出迎えや、良いプレーが出た時の歓声は何事にも代え難いように思います。

以上、オーガスタナショナルゴルフクラブの1番から18番まで各ホールを見た素人の感想でした。

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